ホンジュラスのロアタン島(Roatán Island)にある「プロスペラ(Prospera)」は、正式名称を 「Prospera ZEDE (Zona de Empleo y Desarrollo Económico)」 と言い、ホンジュラスがかつて推進していた「経済開発特区(ZEDE)」の一つです。

非常にユニークで、かつ論争の的になっているプロジェクトです。

主な特徴は以下の通りです。

  1. 特別な自治権と法制度: ホンジュラスの通常の法律とは異なる、独自の法制度や行政システム、さらには独自の紛争解決メカニズムを持つことを目指して設計されました。これは、より投資家フレンドリーで効率的な環境を作り出すことを目的としていました。
  2. 「チャーターシティ」的なコンセプト: 一種の「チャーターシティ」や「実験的なガバナンス地域」のようなコンセプトに基づき、新しい都市やコミュニティをゼロから作り、そこで働く人々や居住者に特別なルールを適用しようとする試みでした。
  3. 目的: 外国からの投資を呼び込み、雇用を創出し、急速な経済発展を目指していました。
  4. 場所: ホンジュラスのカリブ海側にある美しいリゾート地として知られるロアタン島の一角に位置しています。
  5. 論争と現在の状況: プロスペラを含むZEDE構想は、ホンジュラス国内で「国家主権の侵害にあたる」「外国企業に都合の良い特権を与えすぎる」といった激しい批判と論争を巻き起こしました。その結果、ホンジュラス政府は2022年にZEDE法を廃止する決定を下しました。しかし、プロスペラ側はこれに強く反発し、国際的な仲裁を含む法的措置に訴えています。

したがって、プロスペラは単なるリゾート開発や通常の経済特区ではなく、「独自のルールで運営される半自治的な経済開発地域」という野心的な試みでしたが、国内の強い反対により、その存続と法的地位は現在非常に不確実な状況にあります。